4.「イスラエルはユダヤ人の国」と議決

7月19日、イスラエルのクネセト(国会)は、「ユダヤ民族の国民国家たるイスラエル基本法を議決しました。「イスラエルユダヤ人の国である」というのですね。

イスラエルは、成文法としての「憲法」を持たない国であるとされています。そこで、「基本法」が憲法にあたる上級法になっているようです。現在、「エルサレムイスラエルの首都」とする基本法など12の基本法が定められているようです。そこに新しくこの基本法が加えられました。

イスラエルユダヤ人の国だと以前よりよく言われていましたが、正式に「ユダヤ人の国」だと定められたことは大変重要な意義を持ってきます。イスラエルユダヤ国民民族の国で、ユダヤ人のみが自決権を持ち、ヘブライ語のみを公用語とする(今まで公用語であったアラビア語公用語から外す)としているのですから。

右派政権のリーダーであるネタニヤフ首相にしてみれば、「よし、やったー」と満足の気分でしょうね。今まで長い間、自国をユダヤ人の国と主張し、他国にもイスラエルユダヤ人の国だと認めさせることを悲願としてきた首相は、基本法で明確にイスラエルユダヤ人の国だと位置付けられたことに誇りをも感じていることでしょう。

一方、アラブ側の反発は必至です。イスラエル人口の約2割はアラブ系の住民だといわれます。大規模なデモも発生しました。彼らは「差別され、2級市民扱い」だと批判しています。

この「ユダヤ人の国」の議決が、パレスチナ難民の帰還問題などとも重なり、和平への進展がどうなって行くのか一層分からなくなってきます。