3.トランプ政権の「中東和平案」

中東和平交渉は、長く頓挫したままで進展していませんね。

最近のイスラエルネタニヤフ政権はガタガタしていますし、パレスチナ自治政府もバラバラの状態です。

イスラエルでは11月14日、リーベルマン国防相が辞任し、続いて極右政党「ユダヤの家」の政権離脱検討の動きなどもあり、「総選挙前倒しか」と注目されたこともありました。でも、今のところ総選挙前倒しは避けられ、来年11月に行われる見通しのようです。ネタニヤフ首相としては、自身の汚職疑惑問題もある中、主力政党リクードの立て直しを図り、勢いを取り戻したいとしているようです。

パレスチナでは、相変わらずファタハハマスはいがみ合っています。アッバス議長の求心力は低下してきているといいます。一番心が痛むのはガザの情勢です。

イスラエルパレスチナ双方のこのような国状では、落ち着いて和平の協議もできないのでしょう。          

こうした中、親イスラエルアメリカトランプ政権は、中東和平に向けて新たな動きを見せました。来年の早い時期に「中東和平案を公表する」というのです。この和平案は、ユダヤ教徒でもあるトランプ大統領の娘婿クシュナー大統領特別上級顧問が中心になって策定してきたもののようです。ですからイスラエルにとっては、ある程度「受け入れられる案」になっているのでしょう。逆に、パレスチナアラブ諸国にとっては、「受け入れられない案」なのかもしれません。今のところ案の内容は分かりませんが、6月にクシュナー上級顧問らが中東を訪問し、サウジアラビアのサルマン皇太子やヨルダンのアブドラ国王らとも話し合っていますから、ひょっとするとパレスチナ側も譲歩できそうな案なのかもしれません。一国家案?二国家共存案?それとも第3の新しい案?。どのような案にせよ国境、領土、首都、エルサレムの帰属、パレスチナ難民など難しい問題が山積している状況をどのように把握し、解決しようとしているのでしょうか。この和平案に期待するところ大ですが、不安も付きまといます。

アメリカの努力は評価できますが、各国はもっと国際的な、国連中心の、公平な真の和平を目指す動きをしてほしいものです。